適正在庫とは?

DXの効果的な使い方

適正在庫は不動在庫 vs 機会損失

在庫に対しては、機会損失のリスクを回避するため確保しておきたい気持ちと、仕入れた商品が売れないリスクとの葛藤があると思います。
受注予測を立てても相手があることですので、予測通りにはいかないのが現実です。
ある大手飲料メーカー様は以前、天気も需要予測を左右する。天気予報も難しいことなのに需要予測はもっと難しいと言われていました。

難しい計算式で受注予測をすれば精度は高いですが、現実的ではありません。
そこで、簡易式な適正在庫数についてご説明したいと思います。

簡易式適正在庫は「トヨタのかんばん方式」と同じ

トヨタ自動車は、生産数に必要な部品を必要な分だけ前工程から仕入れます。このとき、部品・数量の連絡をするのに看板を使っていたので、この生産管理のことが「かんばん方式」と呼ばれています。在庫も一緒で、販売する分だけ仕入れます。

仕入れ商品は即納されるわけではないので、その期間で販売できる数を仕入れることで不動在庫リスクを減らすことができます。

不動在庫および機会損失のリスクを最小限にする在庫数は「次の入庫までに販売できる数+バッファ」となります。
たとえば、1日の販売数が10個とします。入庫までのリードタイムを10日間とすると、仕入れる商品数は100個となります。

次の入庫までに売り切れる数ですから、不動在庫になるリスクは減ります。また、在庫がゼロになるときには入庫されますので、機会損失のリスクも減ります。これが基本となります。

しかしながら、販売数は日々変動しますので、バッファを持っておき変動リスクをカバーします。

仕入先に最小ロット数の指定がある場合は?

仕入先によっては、仕入単位(最小ロット)が決まっている場合があります。
この場合でも、上記の考え方を基本として差分調整することで、適正在庫と考えることができます。

たとえば、最小仕入ロットを100個とした場合、1日当たりの販売数が10個とすると10日間分の在庫となります。また、仕入発注から入庫までに15日かかるとすると、100個の入荷では足りませんから、200個の仕入が必要になります。ならば、発注タイミングを入荷から5日後にすれば、200個売れた頃に入荷されてきます。

このように、最小ロットの倍数にあわせて入庫タイミングをずらしていきます。

バッファはどのくらい必要なの?

バッファは、販売数の変動リスク対策でもあり、不良品の交換などにも必要な在庫となります。
その量はキャンペーンや様々な要因によって変動しますので一概にはいえませんが、数日分の在庫でよいと思います。
品切れになるリスクを恐れて多めにバッファを取ると、余剰在庫になるリスクになるのでご注意ください。

また、一度に多くの仕入れるとボリュームディスカウントがあり、1個あたりの仕入れ単価が安くなりますので、仕入れたい気持ちを抑えつつ、以下のことに注意してください。

  • キャッシュフローは大丈夫か? 在庫を保管するにも倉庫コストがかかります。
  • 販売しても入金までにタイムラグがありますので、キャッシュフローに余裕が必要です。
  • 売り切れる算段があるか? 結果的に不動在庫になってしまわないか心配があります。

複数店舗を運営している場合は?

複数店舗を持っている場合は各店舗都合で在庫を要望してきます。調達する立場からすれば、要望を叶えようと合計数を仕入れて各店舗に配送します。
しかし、半期ごとの棚卸で余剰在庫を知ることも少なくないと思います。そして在庫処分のバーゲンで販売することも多いのではないでしょうか。

店舗ごとに売上目標があり、それぞれが売上目標達成のために在庫を確保しようと要望してきます。店長からすれば、在庫切れによる機会損失は避けたいのでリスクを加えた在庫を要望してきますので、各店舗が各々リスクを見ているのでリスクの総和は大きくなります。

このようなときは、在庫は倉庫を管理している在庫責任者が一元管理するのも1つの対策です。
在庫責任者が入庫数と売上数を把握し、各店舗からの要望に応えるのではなく、売れていない店舗から回す権限を与えます。また、仕入れ担当者は全社の在庫と店舗からの要望を把握してコントロールしつつ、入庫リードタイムから発注期限ルールを決めて、運用します。

これでけでも、不動在庫を減らして適正在庫に近づけることができます。

複数の販売チャネルを持つ場合は、チャネル毎に在庫の取り合いになることが懸念されます。
在庫数の状況に振り回されるのではなく、在庫をコントロールしていくことが在庫管理のポイントです。

まとめ

今回は、適正在庫の考え方と、それをどのように効率的に運用していけるかについてご紹介しました。

ZENEI では「在庫アラート機能」が標準装備されています。
この機能を使えば、指定した在庫数以下になったら、在庫アラートが自動通知されますので、仕入漏れ防止になります。
また、ホーム画面でも在庫切れ商品数、在庫アラート商品数が表示され、クリックすることで該当する商品一覧に遷移できます。
こうした機能を活用していくのも一つの有効な手段となるでしょう。

コメント

  1. […] この戦略のデメリットは、短納期にするために在庫を抱えておくリスクです。卸業であれば、仕入先との関係強化と、適正在庫の管理をしっかりとしておくことで軽減することができます。 […]

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